風義ブログBLOG

2019.05.28

類推する。

本書は1960年代のアメリカ合衆国において大多数の人々が死を迎える場としての病院に着目し、そのとき死にゆく人々は生物学的に死ぬ前に社会的人間的に死ねるのかどうかに関心を抱き、そして研究の焦点を医療スタッフ、家族、患者の社会的相互作用に当てたものです。終末期患者への態度や彼らへの関わり方について生じた大きな変化にきわめて重要な影響を与え、現在でも頻繁に引用されており本書の需要も依然として高く、医療・保健分野の実践家とくに看護師やシーシャルワーカーなどが手に取っているように思えます。また医療・保健の現場にいる実践家以外にも組織学習や専門知などの研究者からも評価を受けています。

春から参加しているゼミで指定された本書は私の実践にも通ずるものが多く驚いています。なかでも興味深いところは生物学的・医学的な立ち位置からの対応や対処では混沌としている社会的な状況に応じることは難しいが、しかし現場では彼らによって日々実践されているということです。

建築学的・工学的な観点からの住宅計画では、刻々と移り変わる家族の住まい方を捉えることは難しいと考える私が専門外でありながらも向き合う意味がここにあります。

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