風義ブログBLOG

2019.04.10

棚からひとつかみ。

本日の棚からひとつかみは、西川祐子さんの『住まいと家族をめぐる物語』集英社。

 

 

この書籍は新潟大学大学院修学の際、シラバスを検索し自主的に参加させていただいた社会学の講義で引用されていた書籍です。この講義はわたしが人生で初めて出会った社会学者・内田健先生との出会いでもありました。

論文らしくない変な題だと揶揄された、「男の家、女の家、性別のない部屋」という初題の論文を書いた西川さん。のちに「近代家族と国家と家族モデル 日本型近代家族の場合 」という論考の後半部分となり、『近代国家と家族モデル』という論文集も2000年に出版しました。しかし、初題に愛着があった西川さんは心残り・愛着もあり、ぜひその題名にふさわしい本をつくりたいとのことから書き下ろしがおこなわれたと述べています。

 

 

以下に一部を表記してみますね。

「リビングのある家」/「ワンルーム」の二重構造モデルが成立すると、次の変化が予想された。「リビングのある家」では、リビングルームの団らんがなかなか成立しないままに家族の個人化が進んだ。父親の残業、子どもの塾通いで家族が住まいに滞在する時間が減るのだから、主婦が奮闘しても一家団らんの時間はとれない。共食の習慣はすたれ、当然、個食化が進む。それが子どもの非行、閉じこもり、拒食などの病的現象の原因だ、母親の責任だ、という批判の声があがった。歴史学や人類学は、日に二度三度、家族が食卓を囲むという文化は限られた時代、限られた地域の文化であることを教えているのだが。現代日本の母親は、母親業は怠ったとも、やり過ぎたとも非難される損な役割だと感じていることだろう。父親は父親で、家族のためにこれだけ働いて、書斎もない自分は何だ、と忿懣(ふんまん)やるかたない。

引用文献 西川祐子(2004)『住まいと家族をめぐる物語』集英社 178.

 

 

内田先生から紹介された書籍の数々、わたしが受けた影響は計り知れません。

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