風義ブログBLOG

2008.11.25
風義について

新たな輝き

木造モダンの力 
壁に杉板を張り、丸太むきだしにした素朴な家―。
戦前から戦後の日本に四十年以上滞在し
「軽井沢式」・「レーモンドスタイル」と呼ばれる
住宅の名作を各地に残したチェコ出身の建築家アントニン・レーモンド。
IMG_7833.jpg
先日の経済新聞の内容です。
レーモンドは旧帝国ホテルを設計中だった米国の建築家フランク・ロイド・ライトの
助手として来日。そこで目にしたのは、面に向かって開放され柱や梁(はり)の
構造が‘あらわし‘になった商家や民家でした。
「日本の家にはモダンがある。」とその時感じたのではないかとも。
後に彼は日本の風土や気候を取り入れモダニズムを拡大し洗練していきました。
近代化を目指す人々が普遍化・合理化・工業化だといっているときに、
四季ごとに床の間の絵を掛け替える日本人の心情で建築をつくったのではないでしょうか。
地域の自然の材料を生かし、単純化したものをレーモンドの門下生たちは
「軽井沢式」と呼んでいたそうです。
ル・コルビュジェの下で修行した建築家の前川国男やレーモンドの哲学を吸収し
進化させた住宅建築の巨匠吉村順三も門下生のメンバー。
(吉村は私の大好きな建築家です。)
吉村の別荘でもある「小さな森の家」は、昨年私も見学した作品であまりにも有名。
建築を学ぶ学生が図面をトレースする課題として最も多く取り入れられています。
 「その時の与えられた力いっぱいの材料で、力いっぱいのテクニックで、
しかも特別な大工さんを頼んだわけでなく建てた民家に私を感動させるものがある。」
吉村は生前語ったそうです。
‘伝統的なもの、歴史的なものをふまえないと本当のモダンはない。
欧米の新建築は優れている。
それはクラシックに対抗しているからで、日本ではクラシックが忘れられている。‘
(『建築家吉村順三のことば100建築は詩』より)
現代生産される住宅の多くはその通りだと感じます。
住宅の限られたスペースでいかに暮らしやすい生活を共につくるか。
奇抜な外観デザインなど形ありきで生み出された間取りではなく、人間の居場所や
生活の癖をお客さんとガチンコでやりあう姿勢。
畳や障子を斬新にとりいれるのは決まった形式やマニュアルがあるわけではなく、
過去のヒアリングや私自身の経験から生み出されたもの。
だからこそ新建材や合成材はそぐわないわけですね。
30年前、吉村は予言したそうです。
IMG_7836.jpg
「日本人が古来資源を浪費せずに、
            手間をかけないで
                    正直に建築をつくってきた時代が再び戻ってくる。」と...

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